『作詞少女』「相対価値の鉛筆」は「エクスカリバー」だと考えた話
『作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~』を執筆された仰木日向さんの二作目……それが『作詞少女~詞をなめてた私が知った8つの技術と勇気の話~』!
『作曲少女〜』は実用的なテクニックが多かったですが、『作“詞”少女〜』はどちらかというとモノを作る際の哲学について記述されています。
そりゃそうですよね。書くということは「人生そのもの」ですから。
(大きな書店の音楽・作曲・DTMコーナーにあると思います。二人の少女が目印! ……大阪日本橋のジュンク堂どこいったん?)
【作詞のテクニックを期待したら肩透かしかも。でも、だからこそ読むべき本になってる!】
この本は自身の「人生」を使って歌詞を書くその姿勢を描いていると感じました。
自分の都合という簡単な答えに飛びつかないでくれと! モノを作るという行為は心に孤独を感染させる菌だと理解しているかと。
その意味を知ってしまうともう戻れなくなるけど……それでもやるのかと。
「モノを作る動機はそんなんじゃダメだよ」と言われているイメージで少し怖くなる話。
人間関係の所為という渦に飲み込まれている人の肩を掴んで引き揚げるような、結構過激なことが書かれていました。この良い内容にOKを出したYAMAHAさんもスゴイですね!
今流行りのどう生きるかについてもエッセンスが散りばめられている本。あの漫画もそうだが結局は自分で考えていくしかありません。
何について悩むのか……一つの考えるべき事柄を提示しています。“偽善者”という論点で。
モノを作る一人の人間の哲学を知ることが出来るライトノベル。
なかなか珍しい本でした。面白い文体ながら真面目な内容で感動しました。オススメです!
さて、ここからは読んだ人に……
【相対価値の鉛筆の正体とは?】
『作詞少女』読んだことがある人は言うと思う。「それを書いちゃ駄目だろ」と。
その通りで、ここからは作者さんの意にそぐわない内容になります。各自ご判断ください。
「相対価値の鉛筆」は何を表しているのか、作者さんは答えを出していません。
自分で見つける、見つけられるというメッセージだと思います。そこに意味はある。
ここで述べる僕なりの答えは一種の酔狂として捉えてください。
一時間後には忘れてろ。
「相対価値の鉛筆」とは……
それはエクスカリバーです!
本気で語ってます! あの鉛筆は強いソードなのです。
新たな世界を反射する刀身なのです。鈍く光るグリーンの六角星は。
【“透明”を見せてこそのクリエイター】
誰にも負けないエクスカリバー。それは小さな小さな緑色の真理です。
既に発見されているかもしれないし、これからアナタが見つけるかもしれない。物事の道理なのです。
それを知った人に新たな世界をイメージさせるような……そういう強い存在です。
沢山あって世界を分かつ。それを知る前と知った後で。その……面白さで!
具体的に言うならそれは、
ある曲のメロディラインかもしれない。3秒間の歌詞にあるのかもしれない。コード進行の並びかも……。
あるいは芸術美術マンガ公共施設その他が表現しているかもしれない。誰かの生き様にも含まれているでしょう。
なんでもいい。何をやってたって見つけられる。自身の領分を一生懸命生きていれば。
誰の心的世界にも痕跡を残していく普遍的な“道理”
それが「相対価値の鉛筆」ではないでしょうか。
相対主義とは“誰が”喋っているかで内容の“良さ”が変わるということ。でも本当の良さというのは、人間に影響されない道理なのです。
自分という存在から離れた場所にあって輪郭のない存在で、憧れるような魅力のある存在で。
それがあらゆる人間の心に溝を一本作る。新たに抉る。“Whoという相対”を超えた良いモノならば。
この本から問われていることは、
目の前のその鉛筆は只のカーボンでしかないのか、人の性質に左右されるものか……芯があり折れない強さを持つ“道理”なのか。
傷が付いてもいつまでも使える世界なのか。
相対価値の鉛筆は世界に訴えかけてゆく剣なのですね。真理なのです。
「こんな道理があるぞ!」と振るう透明な存在で……
目には決して見えない刀……でもそれを受け手に見せてこそのクリエイターです。
空気を握って振ろう。
日本には0%の剣を手に入れようとコントローラーを離さない人がいるのです。
その道理を子供が一番必要にしている。